少子化が加速している現在、大学や短大、専門学校などの教育機関はさらに経営悪化の一途を辿ると予測できます。
経営が厳しく破綻しそうな教育機関と経営好調な教育機関の2極化が今後さらに進んでいくといえます。
つまり、これから進学を検討している人は、今まで以上に学校を見極めて選択する必要があるのです。
しかし高校生の段階で、自分のやりたいことや就きたい職種を見つけて進路を選ぶというのはなかなか大変で、ほとんどの人が明確な夢を持たずに、大学や短期大学(短大)、専門学校に進学することになります。
しかし、大学・ 短期大学(短大) ・専門学校のどれに進むかどうかは、将来の職業選択に関わる大切な選択になります。
本記事では進路アドバイザーである私が、進路選択活動のポイントや大学・ 短期大学(短大)・専門学校のメリット、デメリットについて詳しくご紹介します。
- 最近の高校生の進路選択事情が知りたい保護者の方
- 最新の進路選択活動のポイントや進路選択でのオンライン活用術が知りたい
- 大学・短大・専門学校それぞれのメリット・デメリットが知りたい
という方はぜひ参考にしてください。
2022年の高校生の進路選択活動って?

結論からいうと、「進路選択活動がしっかりとできている高校生」と「進路活動を全くしない高校生」の2極化が進んでいると言えます。
そしてその原因は「外出自粛」です。
なぜなら、進路選択活動といえばの大学や専門学校に直接来校できるオープンキャンパスに参加しにくい状態が続いているからです。
特に希望する大学や専門学校が遠くにあり、県をまたいだ移動がしにくい地方の高校生は、十分な進路選択活動をしないまま、地元の学校に決めてしまうというケースが増えてきています。
では、「進路選択活動がしっかりとできている高校生」はどのように進路選択活動をしているのでしょうか?
2022年以降の進路選択活動のポイント

WEBオープンキャンパスを上手く活用する
進路選択活動がしっかりとできている高校生は、おうち時間でしっかりと「WEB」を活用しています。
もともと大学・短大・専門学校で進んでいたデジタル化ですが、2020年からデジタル化はさらに加速しました。
その影響で、ほとんどの大学・短大・専門学校でWEBオープンキャンパスが開催されています。
WEBオープンキャンパスでは、学校にもよりますが、校舎見学や学校・教育説明、入試・奨学金説明など、数多くの充実したコンテンツが用意されています。
気になる学校のWEBオープンキャンパス情報は必ずチェックするようにしましょう。
タイミングをみて来校型のオープンキャンパスに参加する
そうは言っても、実際に校舎を見たり、学生や学校・先生の雰囲気を感じたり、模擬授業が受けられる来校型のオープンキャンパスが1番有効です。
実際に行くことでより進学の具体的なイメージが湧き、すぐに進路を固めることができる人も少なくありません。
反対に、実際に行って、見て、体験をすることで「やっぱり違った」「自分には合わない」となる場合もあります。
そして後者の場合は、高3になってから気づくのは遅いのです。
高1~高2の夏までに最低でも2か所は来校型のオープンキャンパスに参加するのが進路アドバイザーである私のおすすめです。
高校での進路学習を有効活用する
高校で定期的に開催される「進路相談会」とは?
多くの高校では、高校1年生からカリキュラムの中に進路学習の時間が組み込まれています。
中には、大学や短大、専門学校の講師や職員が高校に出向いて行われる「進路相談会」も開催されており、最近はWEBで行う学校も増えてきています。
そして「進路相談会」は、簡単に言うと来校型のオープンキャンパスとも言えます。
高校生が大学や短大、専門学校に足を運ぶオープンキャンパスに比べ、「進路相談会」では大学や短大、専門学校の講師や職員が高校に来て、学校の説明や職業の説明をしてくれるからです。
そのため、この「進路相談会」の機会を無駄にしてはいけません。
「進路相談会」を受けるときのポイントは?
高校で開催される「進路説明会」でのポイントは以下の3つです。
- 講師が話した内容をメモに取る
- 気になる学校のアンケートはしっかりと記載する
- 分からないことや疑問に思ったことは講師に質問する
講師が話した内容をメモに取る
「進路相談会」では聞いたことをしっかりとメモを取り、有意義な時間になるようにしましょう。
また、メモを取っている生徒は話をしている進路アドバイザーや講師から見ても好印象です。
気になる学校のアンケートはしっかりと記載する
また進路相談会では多くの場合、最後に進路相談会はどうだったかなどの項目があるアンケート回答の時間があります。
さらにこのアンケートに名前や住所を記入すると、後日その学校のパンフレットやお知らせが郵送されます。
最近では進路アドバイザーや講師の学校公式LINEを教えてくれる学校もあります。
その後の情報収集に繋げたり、進路相談ツールの確保ができるチャンスでもあるのです。
ただし、このアンケートには注意が必要です。
進路説明会で興味を持てなかった学校や後日資料を郵送してほしくない場合は、情報をむやみに記入しないようにしましょう。
これらのアンケートは必ず強制ではなく任意となっているので、記入の有無が入試の合否に関わることはありませんので、安心してください。
分からないことや疑問に思ったことは講師に質問する
分からないことや疑問に思ったことは質問するようにしましょう。
大学や短大、専門学校の進路アドバイザーや講師と直接話ができる機会は、とても貴重です。
後日インターネットなどで調べるよりも、直接聞いた方が信ぴょう性が高く、確実です。
この貴重な機会に不安や悩みをできるだけ解消するようにしましょう。
大学・ 短期大学(短大) ・専門学校の違い

大学と短期大学(短大)と専門学校には大きく3つの違いがあります。
1つずつ詳しく説明していきます。
在学年数と卒業すると得られる称号の違い
大学・ 短期大学(短大) ・専門学校は「在学年数」と「卒業すると得られる称号」に大きな違いがあります。
在学年数 | 卒業すると得られる称号 | |
大学 | 4年 ※医学部・薬学部・歯学部・獣医学部などは6年 | 学士 |
短期大学(短大) | 2年 ※医療系は3年もあり | 短期大学士 |
専門学校 | 2年 ※1年~4年もあり | 専門士 |
大学では4年(~6年)かけて幅広い教養を学び、卒業後は学士の称号が得られます。
短期大学(短大) では2年(~3年)かけて職業知識や教養を、学科によっては看護師や保育士などの、専門的な資格を取得しし、卒業後は短期大学士の称号が得られます。
また、専門学校では、2年(1年~4年)かけて専門的な知識や技術を身に付け、卒業後は専門士の称号が得られます。
何年在籍しなければならないかは、今後の人生設計をする上で重要なことです。
カリキュラムの違い
大学のカリキュラムの特徴
大学・短大・専門学校は学べる内容に大きな違いがあります。
医学部・薬学部・歯学部・獣医学部などは6年、そのほかの学部ではほとんどの場合4年かけて専攻した学部の知識をプロフェッショナルとして養っていきます。
ほとんどの人が卒業後は就職をしますが、大学に行ったり留学をしたりする人もいます。
最近では起業したりフリーランスになる人もいるので、就職率は専門学校よりも低めです。
ここで注意したいのは、大学よりも専門学校の方が就職率がいいから……などの就職率だけで進路を選ぶと危険ということです。
大学1回生~2回生では専攻した学部の知識を学ぶ科目のほか、幅広い教養を学ぶ一般教養などを履修します。
3回生~4回生からはゼミなどに所属し、より専門的な知識を身に付けたり、研究などを行います。
学科にもよりますが、専攻した学科以外の知識も学ぶことができ、幅広い教養を身に付けることができるので、就職の幅も広いです。
多くの人が苦労するのが、自分で履修する科目を決めなければならないということです。
シラバスなどをしっかり確認したり、先輩などに相談しながら履修登録を行いましょう。
短期大学(短大) のカリキュラムの特徴
短期大学(短大)は2年~3年で教養や学術研究、職業に必要となる知識を身に付けます。
大学よりも在学年数が少ないですが、座学よりも実践的な実習などが多いのが特徴です。その点では専門学校に近いです。
卒業後はほとんどの人が就職しますが、中には大学3年に編入する人もいます。
一昔前は女子短大が多かったですが、最近では共学も多くあります。
短期大学(短大)は少ない在学年数でしっかりと教養を身に付けたいという人におすすめです。
専門学校のカリキュラムの特徴
専門学校では2年(~4年)かけて専門的な知識や技術を身に付けます。
座学よりも実践的に学べる実習が多いのが特徴で、実際の現場を意識した授業が受けられます。
専攻によっては、本物の現場で実習する機会もあるので、就職後は即戦力として働くことができます。
卒業後はその分野へ就職する人がほとんどですが、専門学校独自の大学編入制度を利用して大学3年に編入する人もいます。
大学によっては単位組み換えができなかったり、2年次編入となることもあるため、事前に調べておきましょう。
大学編入担当の先生や担任の先生に聞いてみるのが望ましいです。
また、就職に関しては専門職就職率が高いため、他業界への就職が大学よりも難しく、就職する業界の幅は狭くなります。
しかし、なりたい職種や業界が明確な人は、その分野に特化した学びが得られるためおすすめです。
学費の違い
学費にも違いがあり、学ぶ内容や私立か国立かでも大きく異なります。
また、高等教育の就学支援制度などの奨学金制度や学校独自の奨学金制度なども数多くあるので一概に金額を示すことは難しいです。
そのため、学費が安いからという理由で学校選びをするのは安易かもしれません。
奨学金については、高校の担任の先生に確認したり、大学などの募集要項を取り寄せて出願前にきちんと確認するようにしましょう。
続いて、大学・短期大学(短大)・専門学校それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
ぜひ、進路選択活動の参考にしてください。
大学・短期大学(短大)・専門学校のメリット・デメリット

やりたいことは決まったけど……。
大学にするか短大にするか専門学校にするか迷うという人は少なくありません。
これから進路アドバイザーである私が、大学・短大・専門学校それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
大学の3つのメリット
周りからの評価が高い
大学センター試験や2次試験など、大学入試という壁を突破して大学へ入学するため、自分の自信にもなるうえ、その点では周りからしっかりと評価されます。
学歴格差をなくそう! 人間は学歴じゃない! とは言いますが、判断基準の材料が少ない新卒の入社試験などでは、学歴は最大の武器になると言っても過言ではありません。
みなさんも、自己紹介で偏差値の高い大学の名前を言われると、自然と「頭いいんだな」と思いますよね?
それは当然のこと、普遍的なことだと思います。
また、最近はニュースでも一部話題になりましたが、業界や企業によっては「学歴フィルター」の存在も依然として否定することはできません。
幅広い教養が身につき就職の幅が広がる
大学は専攻した学部以外の教養も身に付けることができます。
もちろん、専攻した学部の学問は授業やゼミ、研究を通してじっくりと身に付けることができます。
加えて一般教養などでは、専攻した学部以外の幅広い教養が身に尽きます。
例えば、経済学部に進学をしたとします。
その場合は主に、簿記・会計・経済史・統計学などの経済系の授業やゼミ、研究をしっかりと行います。
加えて、一般教養では、心理学や法律、数学、物理、食物、文化、国際、文学と経済系以外の学問に触れることもできます。
そして、幅広い教養が身につくということは、就職の幅も広がることを意味します。
学部にもよりますが、メーカーや不動産、銀行、ホテルなど幅広い業種へ就職をしていきます。
さまざまな場所で多くの人との出会いがある
これはかなり大きな魅力です。
特に私立大学は在籍者の数も多く、その分「出会い」も多くなります。
サークルや同好会、ゼミ、研究室、選べる選択授業の数も多く、勉強はもちろん勉強以外の時間も充実します。
さまざまな人と出会い、多くの経験をし、充実のキャンパスライフを送ることができるのが大学の魅力です。
その他メリットと大学のデメリットについて、下記にまとめています。
ぜひ参考にしてみてください。
大学のメリット
- 専攻にもよるが、就職の幅が広い
- 在学期間が長いため、その分数多くの経験ができたり、じっくり考えることができる
- 求人数が多く、大卒以上が条件の企業への就職を目指せる
- 大卒でなければ取れない資格を取れる
- 年収が上がりやすい可能性がある
- 多くの人と出会いやすい
- 主体性がつきやすい
- サークルや団体が多いため、勉学以外のさまざまな経験ができる
大学のデメリット
- 在学期間が長いため、学費や一人暮らし費用などが多くかかる
- 出席確認が緩い大学もあるため、勉学に励む人とアルバイト漬けになってしまう人との差が出やすい
- 専門学校ほど就職活動(就活)サポートは充実していないため、主体性がないと乗り遅れる
- 大卒というプレッシャーに勝てない人もいる
短大(短期大学)の3つのメリット
短期間でぎゅっと学べて、濃厚な学生生活が送れる
大学と比べ、短期大学(短大)は在学期間が短く、その分カリキュラムもぎゅっと詰まっています。
そして、短期間でしっかりと資格取得をして就職ができるのが魅力です。
濃厚な学生生活を送ることができます。
地域に根差した短期大学(短大)が多いため、地元での就職に強い
短大は、地域に根差した学校が非常に多いです。
そのため
- 地元で看護師を目指したい
- 地元で保育士を目指したい
など、地元で資格を取って就職したいという人におすすめです。
4年制大学への編入が可能であるため、進路の幅が広い
実際、短大から4年制大学へ編入する学生は少なくありません。
受験時は学力が足りなかった、短大で学んでさらに深く学びたくなった、最初からそのつもりだったなど動機はさまざまですが、大学編入という道もあり、進路の幅が広いのも魅力の1つです。
その他メリットと短大のデメリットについて、下記にまとめています。
ぜひ参考にしてみてください。
短期大学(短大)のメリット
- 2年という短期間で卒業できる
- 大学と比べて学費の負担が少ない
- 専門的な資格や技術を身に付けることができるため、就職に強い
- 地域に根差した短期大学(短大)が多いため、地元での就職に強い
- 4年制大学への編入が可能であるため、進路の幅が広い
- 本科修了後に短期大学専攻科へ進学し、定められた基準に合格すると「学士」の学位取得も可能なため、4大卒と同じ土俵で就活に臨める
- 短大卒で取れる資格もある
- 大学よりも在学期間が短いため、その分濃厚な学生生活になる
短期大学(短大)のデメリット
- 大卒よりも給与面で不利になる可能性がある
- 大学よりも在学期間が短いため、その分忙しい
- 短期大学(短大)の数が減少してきているため、選択の幅が狭い
- 企業によっては大卒以上が条件のところもある
専門学校の3つのメリット
先生との距離が近く、相談しやすい
これは、専門学校の大きな強みです。
大学に比べて学生数が少ない分、先生と学生の距離が近いです。
そのため、授業で分からないところがあれば先生に1対1で教えてもらったり、就職などの悩みや相談を親身になって聞いてくれます。
また、先生と学生の距離の近さは就職活動のときも大きな強みとなります。
履歴書の添削や、面接指導、大学編入サポート、アルバイトサポートなど、1つ1つのサポートが手厚いところが専門学校の魅力です。
しかしこれは、大学生に比べて主体性がつきにくいという弱みにもなります。
主体性に差がつかないよう、自ら行動し、考える力を養っていく必要があります。
専門的な知識や技術を学び、その道のプロフェッショナルを目指せる
専門学校では、IT、美容、ホテル、動物など、その道のプロを目指すことができます。
そのため、〇〇になりたい!という明確な目標がある人にはおすすめです。
手に職をつけて、専門職で活躍することができます。
また、専門職就職には強いですが、マネジメントなどにも関わる総合職の採用は少なめなのが特徴です。
資格や検定を取得しやすい
資格や検定を取得しやすいのも魅力の1つです。
資格や検定の難易度はさまざまですが、その分野で役立つような資格や検定を数多く取得してから卒業する学生が多いです。
また、授業そのものが資格対策になっており、国家資格や国家検定の取得にも強いです。
さらに、資格に強い講師から直接教わることができるもの魅力の1つです。
その他メリットと専門学校のデメリットについて、下記にまとめています。
ぜひ参考にしてみてください。
専門学校のメリット
- 2年という短い期間で専門的な知識や技術が身につく
- その道の経験者が講師であることが多い
- 実習や研修が多いため、即戦力となる
- アルバイト斡旋、就職サポートなどのサポート制度が手厚く、卒業後もサポートしてくれる
- 現場さながらの実習室がある専門学校が多く、現場をイメージしながら学ぶことができる
- 大学編入をサポートしてくれる専門学校も多いため、面接対策や履歴書対策、単位組み換えまでしてくれる場合も
- 専門職の就職に強い ※専門職であっても場合によっては大卒の方が有利なこともある
- 資格・検定対策をしてくれるため、数多くの資格・検定が取れる
専門学校のデメリット
- 施設設備費や実習費、研修費が高い場合がある
- 進路変更したいときに苦労する
- 就職サポートなどのサポートが手厚く、主体性が身に付きにくいため、就職後に大学生と差が出る場合がある
- 大学に比べて出会いが少ない
- 学科によっては資格や検定試験の勉強が忙しく、アルバイトとの両立が難しい
- 大卒よりも初任給が低い
- 専門職の就職は強いが、総合職への就職が難しい
まとめ
いかがでしたでしょうか?
学校よりも学ぶ内容の方が大切と思われる方も多いですが、大学・短期大学(短大)・専門学校のどれに進むかにも大きな違いがあります。
多くの人が高校生のうちに数多くのことを理解して正しい進路選択活動をするというのは非常に難しいことです。
そのため、しっかりと情報収集する時間を作ったり大人に相談したりして、悔いのない進路選択活動を行ってください。
高校の授業内で行われるキャリア教育の授業や学校説明会で多くの情報を吸収することもおすすめです。